応用一般均衡モデルによる炭素税の地域別効果の分析

最近、↑の書籍が発売されましたが、この中に私が執筆した以下の論文が含まれています。

武田史郎(2022)「応用一般均衡モデルによるカーボンプライシングの地域別経済効果の分析」,有村俊秀・杉野誠・鷲津明由(編)『カーボンプライシングのフロンティア:カーボンニュートラル社会のための制度と技術』,日本評論社,第2章,pp 25–42.

これは、日本を10地域に分割した応用一般均衡モデル(CGEモデル)を利用して、日本における炭素税導入の地域別の効果を分析した研究です。

現在、気候変動対策の一つとして炭素税(カーボンプライシング)が検討されていますが、その経済的な影響が一つの懸念事項になっています。炭素税の経済的影響を分析するものとしてCGEモデルによるシミュレーションがありますが、通常は日本全体を一地域として扱ったものがほとんどです。しかし、炭素税の効果は地域によって大きく異なる可能性があると言われています。それは、地域によって

  • 生産構造
  • 消費構造
  • 発電の電源構成

などが大きく異なっているからです。

この分析では、そのような地域間での差を考慮できるように、日本を複数地域に分割したCGEモデルを作成した上で炭素税導入の効果(域内総生産、所得などへの影響)を分析しています。関心のある方は読んでみてください。

私の論文以外にも、多数の研究者が様々な観点からカーボンプライシングについて分析した研究が含まれています。