CO2排出量取引のCGE分析の論文

前から書いていた論文がDiscussion Paperになりました。Output-Based Allocation of Emissions Permits for Mitigating the Leakage and Competitiveness Issues for the Japanese Economyにあります。

日本のCO2排出量取引をCGEモデルで分析した論文です。排出量取引の議論では、排出枠を最初にどのような方法で配分するかが一つの論点になります。有償配分方式と無償配分方式、また、無償配分方式にも様々なタイプがあります。各配分方式の優劣については多くの議論が行われていますが、その議論の多くは定性的なもので、定量的に比較した研究は少ないと思います(日本では)。

この論文では、オークション方式、グランドファザリング方式、OBA(output-based allocation)方式をCGEモデルを用いて、効率性(厚生、GDP)、炭素リーケージ、企業の国際競争力への影響という側面から定量的に比較しています。

一般均衡モデルで分析していますので、排出規制が炭素市場(エネルギー市場)以外の市場に与える効果がでてきます(tax-interaction効果など)。この効果のため、無償配分方式(OBA方式)はそれほど効率性の面で劣るわけではないという結果となります。