(物価)指数の理論

今、CGE分析での指数(物価指数、数量指数)の扱い方について調べています。それで経済学の指数の分野の文献をいろいろ見てるのですが、経済学で指数というとやはり「物価指数」が特に重要な分野になるようなので、物価指数の計算という観点からの文献が多いです。

英語まで含めればすごく沢山の文献があります。代表的なものは ILO による CPI のマニュアルだそうです。→ “Consumer price index manual: Theory and practice”。これは物価指数についての包括的な解説書です(500ページ以上もあります)。

一方、日本語に限ると文献はそれほど多くはないようです。ちょうど今、『経済セミナー』で、一橋大学の阿部修人先生が「指数理論への招待」という連載を書いています。これはやはり物価指数に主眼を置いた内容になっていて、私が必要な内容(CGE分析で利用するもの)よりももっとレベルが広く・高い内容になっていますが、一応、exact指数、最良指数などの概念は理解しておきたいので、今後そこらへんについてわかりやすい解説をしてくれるといいなと思います。ただ、第3回目にして結構難しいです...

物価指数というのは物価の変動自体を測るために利用されることが多いと思いますが、CGE分析では物価の変動自体を測るためではなく、その物価指数を利用して名目値(金額、価格)をデフレートして実質値を求めるために利用することが普通です。なぜ、物価指数の理論のようなものが必要になるかと言えば、CGE分析では多数の財が存在する状況を扱うため、その多数の財の価格から物価全体を表す指数を作成する必要があるからです(もちろんある一つの財の価格だけをデフレータとして利用することもできますが、それは明らかに望ましくないですよね)。

CGE分析において、どういう方法によって実質値(例えば、実質GDP、実質所得)を求めるかは(それで計算結果の数値が大きく変わりうるものですから)非常に重要なポイントだと思いますが、意外なことに、これについてまとまった解説書のようなものはありませんし、そもそもこれについての議論自体があまりないです。というか、みんな好き勝手な方法で実質値を求めているというような状況だと思います。それで、とりあえずこれについてまとめてみようと思って今書いているところです。