CGE分析における価格指数と数量指数

「このメール」でIan Sue Wingという人が次のような質問をしています。

I am embarrassed to ask a basic question to which I really should know the answer, but apparently have not looked in the right place to find a definitive solution.

Suppose you have a CGE model with which want to perform comparative statics analysis by calculating how GDP, value added, gross output, or some other indicator which incorporates prices, changes in real terms between the baseline and a counterfactual states of the world. What is the theoretically correct way to do so? I would be very grateful if someone knows a reference in the economics literature, and can point me to it.

質問は「CGE分析の比較静学において、価格の変化と実質値の変化を含むGDP、付加価値、生産額などの指標を比較するときどうするのが理論的に正しいやり方なのか?」です。GDP、付加価値、生産額は金額を表す変数ですので、その変化には価格の変化と数量的な変化の両方が含まれています。普通こういうときには実質値としての変化を見たいことが多いと思いますが、それにはどうするのがいいやり方なのかということだと思います。なんだか初心者の質問に思えるかもしれませんが、このIan Sue Wingという人はBoston Universityの先生で、温暖化対策のCGE分析の論文をたくさん書いている、その分野ではかなり有名な人です。

この人は質問をしていますが、計算する方法を知らないわけではないと思います。知らないと論文が書けないですから。私だって論文を書くとき、実質GDPの値を計算しますから、一応計算方法はわかっています。ただ、「理論的にどのような方法が適切なのか」ということになると、この人と同じようにわからないです。実質GDPは重要な指標ですから、CGE分析でそれをどう計算するかも非常に重要な話であるはずですが、実はかなりいいかげんに扱われていることだと思います。実際、モデルによって実質GDPの計算方法は違っていて、人によってばらばらと言ってもいいと思います。

おもしろい話なので、また今度この点について書きたいと思います。


これを書くのに価格指数や数量指数の一般的な話についてちょっと調べましたが、手頃なテキストのようなものがなかなか見つかりません。指数についてのテキストなんてないのでしょうか。