『排出量取引と省エネルギーの経済分析: 日本企業と家計の現状』

新しい本の内容の宣伝をしたついでに、3月に出した本の内容についても書いておきます。

上智大学の有村俊秀先生と私の共同編集の本で

有村俊秀・武田史郎(編)、2012年、『排出量取引省エネルギーの経済分析:日本企業と家計の現状』、日本評論社

という本です。3年前から取り組んでいた環境省の「環境経済の政策研究:国際排出量取引の国際リンクによる経済的影響に関する研究」というプロジェクトの研究成果をまとめた内容です。

『地球温暖化対策と国際貿易』と同様、こちらでもいろんなテーマをいろんな角度から扱っています(ここに目次があります)。私は執筆者としては、

  • 第2章「応用一般均衡モデルの構築」(武田史郎)
  • 第3章「排出量取引の国際リンク及びCDMの経済分析」(武田史郎・杉野誠・有村俊秀・山崎雅人
の二つの章を担当しています。

第2章と第3章と分かれていますが、研究としてはワンセットで、第2章で利用するCGEモデルの解説をおこない、第3章でそのモデルを利用して分析をしています。『地球温暖化対策と国際貿易』の方でもCGEモデルを利用して、温暖化対策の分析をしていますが、大きな違いは、

  • こちらではモデルとして動学モデルを利用している
  • 分析している温暖化対策は国際間の排出量取引制度
という点です。国際間の排出量取引については多くの研究がおこなわれていますが、本研究のように、経済モデルを利用して、日本全体への効果を定量的に評価するというような研究は少ないのではないかと思います。

こちらの研究については、分析に利用したシミュレーションのコードなどを公開したいと考えています。