大学院に入ってすぐにTeXを利用するようになって、それから研究用のものを書くときはずっとTeX一筋だったのですが、最近TeXではなく一般人と同じようにMS Wordを使う機会が多くなりました。TeXとWordの比較なんて話はよくあるものですが、経済学(関連)の論文を書くという視点から、二つを比較してみたいと思います。
[TeXの利点]:
- 数式を非常にきれいに書ける。
- これは論文で複雑な数式を多用するような人(特に理論の論文を書く人)にとっては大きな利点。
- テキストファイルなので、好きなエディタで作成できる。
- テキストファイルなので、軽い。
- テキストファイルなので基本的に軽いです。
- コンパイルする際にはPCの性能が多少かかわってきますが、文書を書く際には非力なPCでも十分です。
- BibTeXがある
次にTeXの欠点ですが、インストールが難しいだとか、設定が難しいだとかというものは除き、純粋に機能面での欠点に絞ると
[TeXの欠点]:
- 他のソフト(からのアウトプット)との連携がしにくい。
- 具体的にいうと、ExcelやVisoで書いた図・グラフ、写真などの画像のように他のソフトで作成されたものをTeXの文書に取り入れるのが少し厄介だという点です。
- これはできないというわけではなくて、いろいろ作業が必要になるので面倒という意味です。
- 例えば、Excelで書いたグラフをTeXの文書に取り込むには普通次のような手順をとります。
- 1. グラフをEPSファイルとして出力。
- 2. EPSファイルの修正(boundingboxの修正等)
- 3. TeX側で\includegraphic命令で、epsファイルを取り込む。
- つまり、一度EPSファイルに変換するという手順を踏むことになります。ですので、かりにグラフを修正したいというこになるとまたEPSに一度変換してという手順を踏まなければならず非常に面倒です。
以上のTeXの利点、欠点をもとにすると、なぜ私がTeXを使う機会が減って、Wordを利用するようになったのかを簡単に説明できます。
- もともと私は理論の論文を書いていたので、論文で数式を多用していた
- 数式がきれいにかけるというTeXのメリットが大きい。
- さらに理論の論文なので、excelの表だのグラフだのは使う機会があまりなかった
- 他のソフトとの連携が不便でもそれほど問題ない。
- 最近は実証の論文(シミュレーションの論文)を書くことが多くなった
- 本文では数式はほとんど使わず。TeXを使うメリット少なくなる。
- 一方、グラフ・表は多用するようになった。連携が楽なWordを使うメリット大きくなる。
というようなわけで、昔はTeXのメリットが大きかったのですが、今はWordで書く方がどちらかというと楽になりました。
ただし、数式の美しさ、テキストファイルで作成するというTeXの特徴は個人的に非常に好きなので、Wordを使っているといってもWord嫌いです。まあ、仕方なくという感じです。