MPSGEについての文書の改訂

「このページ」に GAMSの MPSGE の利用方法について説明した文書を置いています。まだ書きかけでずっとほったらかしにしていたのですが、久しぶりに内容を追加しました。

モデルの例として、1) 排出権取引による排出規制のモデル、2) 炭素税による排出規制のモデルの二つの説明とプログラムを追加しています。ついでに、二重の配当の分析もおこなっています。

データは数値例にすぎませんし、モデルも実際のCGE分析で利用するものよりも非常に単純化されたものですが、私が自分の研究で利用しているCGEモデルも、排出規制の部分の要点はこのサンプルのプログラムとほとんど変わりません。

同じ排出規制であっても、多くの人は排出権取引よりも炭素税の方がよりオーソドックスで単純なものと考えているのではないでしょうか。やはり税と比較し、排出権取引はあまりなじみがない規制方法ですから。

しかし、MPSGE でのモデル化という観点ではむしろ排出権取引の方が単純で、炭素税はすこしトリッキーな方法を用いないと MPSGE では扱えないです。その理由は「炭素税は一種の従量税」であるのに対し、MPSGEで直接扱えるのは「従価税」だけだからです。ただ、「内生的な従価税率(補助変数)+$constraint命令」を上手く利用することで、MPSGEでも炭素税を扱えます。上のサンプルのコードでもその方法を使っています。

さらに言えば、上のサンプルのモデルでは排出権取引と炭素税の同値性」が成り立つので、極端な話、排出権取引のモデルで解いた結果を、炭素税という政策によって求めた結果と説明しても全然問題ではないのですが。

MPSGEは非常に便利なツールですが、その欠点として、表現できるCGEモデルに制約があり、どのようなモデルでも自由にMPSGEで記述できるというわけではないということがあります。その点についての説明もいずれ追加したいと思います。